現場でしかわからないこと
先日の出張指導で、シニアの皆さんとトレーニングをしていたときのこと。
ひとりの方が、何気なくこう聞いてきました。
「脚が痛いときは、どちら側の手で杖を持つの?」
一般的には"痛めている脚の反対側の手で持つ"と言われています。
本にも、ネットにも、そう書かれているので、その通りにお答えしました。
すると、グループの中に杖を右手で持っている方がいたので、
「痛めているのは左足ですよね?」と確認すると――
「いいえ、右足よ」
右足が痛いのに右手で持つ理由を聞くと、
「左手で持つように言われたけど、私、右利きだから右手にしちゃったの」
と、なんともリアルな答え。
さらに近くにいた別の方も、
「私も右利きだから右手で持つわよ〜」と続きます。
教科書には書いていないこと。
現場に入らないと見えてこないこと。
こういう瞬間に、指導者として大切なのは "正解を押しつけること" ではなく、
生活背景やクセを理解しながら、その人に合った方法を一緒に探すことだなと改めて実感します。
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そして、もうひとつ現場ならではのエピソード
トレーニング後の30分は"ゴールデンタイム"と呼ばれています。
このタイミングで栄養をとると、回復しやすくなるので、
皆さんにもレッスン後にこうお伝えしました。
「このあと軽く栄養を補給してくださいね」
次にお会いしたとき――
ある方がニコニコしながら報告してくれました。
「先生に食べなさいって言われたから、あのあとバイキングに行ったのよ!」
……いや、それは補給の域を超えてる!
と思いながらも、なんとも愛らしい勘違いに、つい笑ってしまいました。
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現場は、本当に面白い。
もちろん笑い事ばかりではないけれど、
こうした"生きた声"や"リアルな行動"が、
次の指導にヒントをくれます。
今日も学びがいっぱい。
そしてやっぱり、現場って面白い。













